ジュエリー・ワンダーラスト

エシカルジュエリーブランドの立ち上げ準備の記録と海外暮らしについて。

話すときに「定義は?」って聞くと大抵相手に嫌われる

あと1か月足らずで本業が終わる。立ち上げ当初から関わってきたプロジェクトが終わるタイミングで退職すると、前から決めていた。本業が終わればブランド立ち上げに専念できるのだが、今はただ、プロジェクトのクロージングの大変さに辟易とする毎日を過ごしている。

 

さて、最近エシカルジュエリーブランドのマッピングをしてみた。日本にすでに存在するエシカルブランドを調査し、それぞれの立ち位置をみていく作業だ。その後、そのマップの中で自分のブランドをどの位置に置きたいのか考えていった。

 

マッピングの過程でいくつかのブランドのカテゴリー分けが出来たので、今回はそれについて書いてみたい。

 

まずは「エシカルジュエリー ブランド」でググってみた。そうして出てきた以下のサイトを参考に、世間が一体何をもって「エシカルジュエリー」と定義しているのかまずは見ていこう。

エシカルジュエリー15選!美しく輝く、社会を幸せにするジュエリーとは

 

こちらではエシカルジュエリーの定義を、

 

エシカルジュエリーとは人や環境、社会に配慮したジュエリーのこと。製造の過程で人や動物の搾取がなかったり、環境に負担をかけていなかったりするジュエリーです。

 

と紹介している、「~なかったりするジュエリー」というバッファを持たせた表現に筆者の苦労がにじみ出ている。気持ちわかるよ、定義が広すぎて断定できないんだよね。うん。

 

何度でも言うが、「エシカル」は定義が曖昧だ。この中にエコ、サステナブルフェアトレード、女性支援、途上国支援といった様々なワードが包括されている。何度でも言うが、「エシカル」の定義はそれぞれなのだ。

 

そんな中でもブランドによって傾向があるので、それに沿ってカテゴリー分けをしていく。

 

結論、大きく分けて「エシカルジュエリー」には3つある。

 

1,原産国が特定可能な天然石を使用している。

まずは王道。宝石のほとんどが原産国まで遡れずブラックボックス化している現状に問題意識を持ち、それを解決するため原産国が分かる石を使用しているブランド。地金については主に、南米で公平に採掘されたフェアマインゴールドなどを使用。また、鉱山労働者や研磨職人など作製にかかわる人たちの人権が守られていることを保証したり、労働者やコミュニティに利益や恩恵がいくようエンパワーメントを行っていたりもする。

当てはまるブランド例(敬称略)。

  • EARTHRISE
  • HASUNA
  • R ethical jewelry

私の構想するブランドはここに位置する。

 

2,ラボグロウンダイア、モアサナイトを使用している。

最近台頭してきているのがこちら。ラボグロウンダイアやモアサナイトといった人工石を使用し、天然ダイアを採掘する際に起こり得る環境汚染や労働者の人権侵害に関与していないことでエシカルを称するブランド。人工石の中でもラボグロウンやモアサナイトはCZやスワロフスキーとは一線を画す。値段も数万円からだったり、プラチナやK10、K18など貴金属にセットされることが多い。ちなみに「人工ダイアは天然ダイアよりもエシカルなのか」議論についてはこちらを参照されたし。

天然ダイヤモンドかラボグロウンダイヤモンドか? | ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)

当てはまるブランド例(敬称略)。

 

3,「外し石」やリサイクル素材を使用している。

こちらも最近よく聞く所謂「アップサイクル」。使われなくなった中古品のジュエリーから石を外し、新しいデザインのジュエリーに生まれ変わらせる。地金はリサイクルメタルを使用していたりする。新たに採掘された宝石や金属を使わないため、鉱物採掘者の人権侵害に加担せず、環境にも優しいと言える。

当てはまるブランド例(敬称略)。

 

1と2と3は同じエシカルジュエリーブランドで括られているが、アプローチが全く違う。ターゲット層も異なる。

 

上に行けば行くほど途上国の人々のエンパワーメント、下に行くほど人よりもエコなど環境配慮の側面が強くなっていくと言える。もちろん複数にオーバーラップしているブランドあれば、この3つ以外の切り口からエシカルを貢献しようとしているブランドもる(売り上げの一部を非営利団体に寄付していたり)。

 

上で紹介したブランド以外にも、広い意味で「エシカル」を謳っているブランドは数多くある。私が言いたいことは、買う前に自分でしっかりリサーチしてほしいということ。グリーンウォッシュだのSDGsウォッシュだのに嵌らないでくれ。

 

いちジュエリー好きとして、まずデザインが気に入らなければ「エシカルである」という理由だけでジュエリーを買うことはない。しかし「エシカル消費」という言葉があるように、エシカルであるというのは新たな付加価値だ。だからこそそれを悪用する企業やブランドもある。悪用とまではいかなくても、「これを満たしているんだからエシカルと言っていいよね」とそのブランドの塩梅で名乗っていることも多い。消費者がそれを理解した上で買うならば問題ないが、何となくで買ってしまう人もいるだろう。ジュエリーのような高額なものであれば尚更、「エシカルであること」に惹かれて購入するならば、今一度しっかりそのブランドのHPなりSNSなりをくまなくチェックして、そのブランドの言うエシカル基準が、果たして自分の考えているエシカル基準と合致しているのか、一度しっかり見極めてみてほしい。

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