ジュエリーワンダーラスト

エシカルジュエリーブランドの立ち上げ準備の記録と海外暮らしについて。

空港のご飯ってイマイチなこと多い

深圳を知っているだろうか。

 

そう、中国の深圳(シンセン)市のことである。香港とは陸続きで、なんと新幹線的なものに乗ると最短14分で着く。普通のメトロで行っても45分だ。

 

香港GIAのラボクラスに深圳出身のクラスメイトがいたことで、今回詳しく知ったのだが、中国最大のジュエリーの街らしい。これは行ってみねばと今回訪れてみることにしたのだが、これがまあ大変だった

 

事前にネットで情報収集してみると、前までは日本人はビザなしで行けたらしいが、今は日本人でも約5,600円払ってビザを取る必要があることがわかった。行き方もいくつかあるが、まずは最速の新幹線で行ってみることに。

 

新幹線の駅は、空港と言って差し支えない雰囲気。


チケット(約1,500円)を購入しセキュリティチェックも通過し、そしてパスポートコントロールで問題は起きた。「あなた、ビザは?」「ここで取れると聞きました」「ここでは取れないのよ

 

ええええええ!?事前に調べていた情報と違う。しかしここでグダグダ言っても仕方ない。おとなしく別室的なところに通されてそこでしばらく待った後、職員さんに連れられ来た道を戻る。すでに香港と中国本土の国境で超えていたから、実質deported(強制送還)。人生で2回目なのでまあいいだろう(一度目はコロナ禍のタイ)。

 

救いなのは、職員皆さん優しかったこと。中国本土に向かう人の中、職員に付き添われて逆走するというのは、誰がどう見ても何か問題があって本土に入れず香港に戻る人だとバレバレで恥ずかしかった。そこそこ長い道を戻り、エレベーターに乗ったり裏口を通ったりしながら、ほんの少し前に通ってきたばかりの入口で付き添いの職員さんとお別れをしてまた振出しに戻る。

 

買ってしまった新幹線チケット代約1,500円は本来返金してもらえるのだが、私の場合は出発45分前を切っていたという理由で戻ってこなかった。まあ、普段通ることのできない職員専用通路やエレベーターに乗せてもらったし、駅の裏側見学ツアー代と思って快く払おう。

 

さて、この時点で時刻は13時。とりあえず駅の中でまあまあ美味しくない昼ご飯を食べながら次の手を考える。正直このまま帰っても良かった。深圳に行かなくてはいけない理由などなく、100%中国本土がどんなものか見てみたいというふわっとした好奇心だけだったからだ。しかしこのまま帰ってもやることが無かったことから一念発起して、次は45分かけてメトロで行ってみることにした。この経路ではビザが取れることは確認済みだったが、ビザは一日70件だか発行数が決まっていて、繁忙期には午前中にいっても取れないことがあるらしかった。その日は特に込む理由もない日だったのでまあ平気だろうとあたりを付けた。

 

45分もメトロに揺られていると着くころにはすごく眠くなっていて、正直このまま引き返したかったが、なんとか入国審査に進む。

 

パスポートコントロールに進む前に、本土に入るためにはアプリで健康状態を報告する必要があるのだが、なぜかここで引っかかり別室に連れていかれる(本日2度目)。そこで体温を測られたのち、次はコロナのテストをするよう言われた時点でついに心が折れる。「あきらめて香港に戻ります」と自己申告するも、「いや、検査1分で終わるから」となぜか押し切られ結局受ける。本当に1分で終わる。

 

お次は2階に上がって、アライバルビザ取得。写真を撮り申請書に記入して提出するも審査にそこそこ時間がかかる。私の過去の渡航履歴を見てか、いきなり「トルコのID持ってる?」と聞かれる。今年の夏行ったからだろうか。突如でてきた「Turkey」というワードに3度聞き返す。もう結構いい時間(15時半とか)だし、いっそここで却下してくれ、そうしたら香港に帰るから、とひそかに願うも、無事受理されてしまう。ちなみに隣の窓口ではまあまあな荷物を持ったヨーロッパ人の男性が却下されて「Why? Tell me the reason!」とごねていた。これといった予定のない私のビザが下りて、絶対にこの後何かしらの日程があるであろう男性のビザが却下されるなんてお気の毒すぎて、下りたばかりの私のビザを譲ってあげたい気持ちだった。

 

パスポートコントロールで最後に、「数か月台湾にいましたね?」ときかれたので「はい」と答えた。特に何を咎められるわけでもなく、申し訳程度に台湾にいたことだけを確認されて終了。

 

そんなこんなでようやく入国して深圳に到着。香港だって中国なのだし、深圳に入るのはそんなに大変じゃないだろうと思っていたのに、めちゃくちゃ大変だった。パスポートチェックではパスポート写真と顔を見比べられるが、顔どころか耳の形までチェックされた。恐るべし中国本土

 

朝10時前に家を出たのに、深圳に到着したのが午後4時。一体6時間も私は何をしていたのか。

 

精神的にも身体的にも疲れ切っているし、外は小雨でテンションが下がる。しかしせっかく苦労して来た深圳。目的地のジュエリーマーケットだけは一目見ようと事前に調べていた住所を目指す。ちなみに香港のsimカードは使えず、期待していた公共フリーWIFIも全く見つからなかったため完全にネットなしだ。地味につらい。香港ドルから中国元にちょこっと変えて街に繰り出す。

 

最寄り駅に下りると徐々にジュエリー街の全容が見えてくる。

ほう…これは確かにジュエリー街だ!あっちを見てもこっちを見てもジュエリーショップ!それからテナント全てがジュエリー関連の大きなモールや高層ビル。クラスメイトもこのビルのどこかで働いているらしい。疲れ切っていた心と体がじわじわと元気を取り戻していく。好奇心とはすごい。目ぼしいところに入り一通り見て回るが、規模がすごい。とても見切れないので、今回は下見と思って駆け足に周る。

 

どこもかしこも金金金金金金金金金金、翡翠翡翠翡翠、って感じだ。

 

お客さんと店員のやりとりは日本で見るような「お似合いですよ~」「とても素敵です~」みたいなゆるふわキラキラな雰囲気は皆無。むしろ「やらなきゃやられる」みたいな真剣勝負で非常に殺伐としたもの、もしくは重さを測ってはメモ、を繰り返す銀行の窓口みたいな事務作業感が漂っていた。ジュエリーというより金を買いに来ているのだから当然と言えば当然だ。

 

日本人と中華圏の人々を比べると、ジュエリーショップに行ったりジュエリーを買ったりすることの慣れが全然違う。買うことが日常の一部になっている感じ。それに比べると、日本でジュエリーを買うことはまだ非日常、というか、一部の愛好家にしか関係のないことのように思われていると思う。まあ踏んでいる場数が違うのだから仕方ない。

 

今回深圳を訪れたことで、俄然中華圏のジュエリー事情に興味が出てきた。深圳の友達もできたことだし、絶対にまた再訪しよう。6時間かけていった深圳だったけれど、滞在時間はわずか2時間弱に終わった。

 

深圳から香港への帰り道は、「また止められたらどうしよう…」とドキドキだったが、帰りは何事も無く戻ることができた。棒のようになった足を引きずりながら、同じく深圳から香港に帰る人でごった返す地下鉄に乗り、久々に自分の家(ホテルだけど)に帰れる喜びを嚙み締めたのだった。