ジュエリー・ワンダーラスト

エシカルジュエリーブランドの立ち上げ準備の記録と海外暮らしについて。

千夜一夜物語きちんと読んでみたい

マザーハウスの代表である山口絵理子さんの本を読んだ。

 

マザーハウスといえば、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を掲げ、バングラデシュを始めとする途上国で、現地の人々とともにモノづくりを行うブランドだ。もともとバッグ屋さんだが、今はアパレルやジュエリーも扱っている。

 

私の大学院時代の友達も一時期働いていて、国際協力や途上国支援に関心のある人ならばまず知っているブランドである。デザインで勝負しているので、もちろんそういったことに関心のない人にも広く知られている。

 

以下に書いたように、実は山口さんの本は昔すでに読んでいる。

jewellerywanderlust.hatenablog.jp

 

しかし当時読んだのは『裸でも生きる』で、今回読んだのは、その続編の2と3だ。

1と同じように、2と3も楽しめた。特に3はマザーハウスのジュエリー部門の立ち上げ話だったので、特に興味深く拝読した。

 

私は本の中でも、個人の体験談的なものは当たり外れが大きいと思っている。「こういう出来事があって、こういう風に思った」という、一個人の体験や感想に留まるものは正直本として買うまでもなく、ブログでいいなと思ってしまうのだ。もちろんそういう個人のストーリーに感動したり鼓舞されたりという人もいるので、人の苦労話というのは需要がある。

 

ただ私は、精神的に励まされることより、実際にどんなステップを踏んで起業まで漕ぎつけたのかを知りたい。山口さんの本は、多くの人に勇気と希望を与えていて前者の要素がかなり大きいのだけれど、同時に実際にどう行動をして事業を立ち上げたのか、業者を見つけ商品を開発していったのかが書いてあるので、私みたいな人間にも良い。まあ、その答えは「ひたすら自分の足で町中の工場を訪ねて回った」という非常にシンプルな(だけど多くの人にとって難しい)方法なのだが。

 

特に面白かったのは、世界最大のB2Bプラットフォーム「アリババ」を使った新規商材開拓の話。私は全く使ったことがないのだが、アリババでは「製造国 X アイテム 」で検索出来るのだそうな。そうしていいアイテムがあれば、製造工場の連絡もゲットできるという。仕入れ先を考えている人にはかなり有用な方法だ。ここで仕入れて、仕入れ価格より高く売ればいいのだから、本当に誰でも小売業者になってビジネスができる時代なのだなあと感心してしまった。

 

この方法で筆者は実際に、インドネシアのバティック(ろうけつ染め)の生産者を探し出した。しかしこの手法はあいにく、私の求めるエシカルジュエリー商材探しには全く役に立たない。その理由は簡単で、エシカルを担保している業者がいないから。しかしどんなことが縁につながるか分からないから、しばらくは色々な石の名前で検索して、業者の詳細情報を見て回ってみようと思う。

 

私は2006年創業のマザーハウスを、日本におけるエシカルブランドの「はしり」だと勝手に思っているのだけれど、思えばマザーハウスは「エシカル」という言葉は使っていない。

 

ジュエリー部門を見てみると、途上国の現地の石や技術を使って、現地の職人が手作業で作っていることが分かる。メタルについての言及はないので、地金の透明性は担保されていない。それでも現地の雇用を生み出し、労働環境にも配慮し、ラッピングもエコなものを使っているしで、「エシカル」を名乗ろうと思えば名乗れるはずだ。

 

それをしないのはきっと、その言葉なしにここまで人気になったブランドゆえ、純粋に「使う必要がないから」だろう。もしくは定義が曖昧なこの言葉を使うことを、良しとしていないのかもしれない。はたまたそうした語にブランドを当てはめることが嫌、ということも考えられる。

 

実は最近、自分のブランドをわざわざ「エシカルジュエリーブランド」と称するべきなのか考えが揺れている。使うマテリアルの透明性を担保するので、中身としては絶対エシカルブランドにするのだけれど、看板として「エシカル」を掲げることの長所と短所を考え始めているのだ。うーん。

 

それにしても、私の中ではアリババといえば『アリババと四十人の盗賊』だと思っていたのに、検索したらウェブサイトのアリババしか出てこなくて愕然。