ジュエリーワンダーラスト

エシカルジュエリーブランドの立ち上げ準備の記録と海外暮らしについて。

アフリカってひとまとめに言うの嫌だよね

前回色石編をお送りしたが、業者探しが難航したのはダイアモンド。

 

あらゆる宝石の中でもダイアモンドはとびぬけて値段が高く、国が生産や輸出をコントロールしている。主に国営の大企業が掘削を牛耳っているので、研磨されたルースは大ロットでオークションにかけたりと、卸に個人が入り込む隙はない。よって、採掘者や研磨職人から直接買うといったことが非常に難しい。しかし仲介人を挟めば挟むほど、どの国で、どういう環境で採掘された石なのか見えにくくなってしまう。

 

もちろん、私のような小規模ビジネスオーナー向けにダイアモンドを卸している業者もあって、その中にはエシカルを謳っている業者も結構ある。しかしそれで安心して飛びつくのはまだ早い。

 

よくあるパターンは、「キンバリープロセスに則っているので、100%コンフリクトフリーです」とだけ書いて「エシカル」を自称するパターン。キンバリープロセスとは、主にアフリカ諸国で、ダイヤモンドが反政府勢力の紛争資金源となってきた問題(所謂「紛争(コンフリクト)ダイア」)を受けて、それを防ぐために出来た国際的な枠組みである。しかしキンバリープロセスはあくまで「紛争ダイア」ではないことを証明しているにすぎないため、採掘者が不当な扱いを受けていないとか、人体や環境に害のある薬品を使用していないとか、そういったことは保証しない(キンバリープロセスに関する不備はあらゆるところで指摘されているので、詳しく知りたい人はググってみてほしい)。つまり私としては、キンバリープロセスに沿っているのは前提であり、それだけでエシカルと認めるのは難しい

 

そんな中、ようやく条件に合う供給先が見つかった。原産国は、コンゴ民主共和国(DRC)。DRCのダイアモンド採掘は、採掘者に対する暴力などが報告されている。

 

しかし私が取引を始めた業者は、小規模鉱山で手作業で掘削作業を行っている掘削者たちからダイアモンドの原石を直接買い付けている。もちろんフェアな買値で、採掘者が採掘に必要な道具を揃えたり、子どもの学費を払えるよう、買い取り値を設定している

 

そうして買い取られた原石が、児童労働がなく、適切な労働環境であると確認されているインドの研磨工場に送られ、美しいルースとなって私の手元に送られてくる

 

この業者は採掘から研磨まで一貫して行っているので、その過程が非常に明確だ。いつ採掘され、いつ研磨されたのかまで日にちレベルでわかるのだ(!)もし私も結婚する前にこの業者を知っていたら、ここでダイアを買って婚約指輪にしていたと思う。

今はまだメレしか購入していないが、今後もっと大きいカラットのダイアも仕入れていきたい。

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前にも言及したが、「エシカルであること」を謳うために満たすための基準は、細かく言えば無限にあるのだが、残念ながらすべてを網羅するのは現状不可能だ。それでも、その中で自分が絶対に譲れない項目だけは死守して、今後も妥協せず石探しを続けていきたい