ジュエリーワンダーラスト

エシカルジュエリーブランドの立ち上げ準備の記録と海外暮らしについて。

ラボクラスはタイで受けたい

東京在住の宝石好きが絶対に避けて通れない街、それが御徒町だ。

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宝石やジュエリーの問屋街で、業界の人はもちろんのこと、休日はアクセサリー作りの材料を探すハンドメイド作家やお得な婚約指輪などを物色するカップルなど一般人でも溢れている。いわば宝石、ジュエリーの日本のメッカである。

 

かく言う私もジュエリーブランド立ち上げを決意する前から、ちょくちょくジュエリーを物色しに訪れていた。

 

最近また、御徒町を訪れた。前の記事で宣言した通り、調達した石を鑑別に出しに行ったのだ。御徒町には鑑別機関も集まっている。

 

事前に入念な下調べをして鑑別に出す機関を決め、念のため電話をもしてから訪れた。御徒町駅からさほど遠くないビルにオフィスを構えるその鑑別機関は決して大きくはないが、ひっきりなしに人が訪れる。一般人っぽい人もいれば、見るからに業界人といった人もいる。

 

私は30石以上の石を持ち込んだ。工房との打ち合わせが数日後に控えていたため、その日に間に合うように鑑別結果を出してもらえるようお願いし、その日はその場を後にした。

 

数日後、約束の日に無事に鑑別結果を受け取った。預けた石の数を確認して受け取り、そのままサンプルを製作する工房に持ち込んだ。

 

そして事件は起こった。

 

工房の人が石をひとつひとつチェックしてくれたのだが、

「ん…?これって…」

工房の人同士で何やら話している。言いにくそうに私にこう告げた。

「あの…袋と中身が違うかも…?」

 

え!まさか、と思い、私も確認。なんとサファイアとガーネットが入れ替わっていたのだ!

 

鑑別から帰ってきた石というのは、一石一石小さなジップロックに入っているのだが、その表に宝石名が書かれたシールが貼ってある。その袋に書かれた宝石名と中身の宝石が異なっていたのだ。鑑別した人が石を袋に戻す際に取り違えた、もしくはシールを貼り間違えたということだ。

 

ひとまずその場は正しい石を正しい袋に戻して、「ははは…」と乾いた愛想笑いで納めた。

 

工房からの帰り道、もやもやと考えた。こんなことってあるのか…あってもいいのか…。30石以上依頼したし、なるはやでお願いしたし…言い訳は色々考えられるが、結果がすべて。絶対に間違えてはいけないところを間違えられた。これは一発レッドカード案件だ。とりあえず二度と同じ鑑別機関は使わないとして、問題はこれから。人間が作業をする限り、ヒューマンエラーというものは必ず起こる。今回は青と赤だったからよかったものの、もしこれがルビー(赤)とガーネット(赤)だったら、そう思うとぞっとする。

 

当たり前だが、「ジュエリーブランドを運営している人=宝石を鑑別出来る人」ではない。「ジュエリーブランドを運営している人=ジュエリーデザイナー」でもない。

 

他の小規模ジュエラーが石の鑑別をどうしているのか参考にした結果、大体以下の通り。

①自分で宝石鑑別の資格を取得している。もしくは宝石鑑定士を雇っている。

・メリット:自分で確認できる。内部で完結できる。鑑別に別途費用がかからない。

・デメリット:宝石鑑定士の資格を取る必要があり、労力とお金が膨大にかかる。

 

②石を鑑別機関に出している。

・メリット:プロに任せられる。時間と労力を節約できる。

・デメリット:鑑別費用が石毎に発生する。

 

③機械を購入し、自分で簡易鑑定をしている。

・メリット:一度買えば後は費用がかからない。簡易鑑別ならば十分。

・デメリット:詳細鑑別ができない。

 

①や③を採用しているジュエラーでも、一定の大きさ以上のダイアモンドなどは②の鑑別機関に出して鑑定書を取得している。私もそうしようと考えているが、例えばメレなど業界の通例としても鑑別に出さないものは、①や③の方法で自分で判断しようと思っている。また、鑑別に出した石も、自分でダブルチェックできるというのは大きい。今回のような事件を防げる。

 

①については資格を取るわけだが、国際的に通用する資格の選択肢としてはアメリカGIAとイギリスFGAの2種類ある。どちらも通学するコースのほかにオンラインコースもあり、最短半年程度で資格が取れるようだ(オンラインコースでも、数日間のラボクラスに参加しなくてはいけない)。

 

家族に相談すると「せっかくなら通学コースにしてイギリス行ったら」と言われたが、そんなお金の余裕はない。GIAとFGAどちらを選んでも、費用はオンラインならば120~150万円程度、通学コースだと200万円以上だったと思う。私の考えている選択肢はオンラインコース一択だ。

 

私はコースの構成と費用の面で、受講するならばアメリカのGIAかなと考えていたが、これまでの人生どちらかというとヨーロッパに縁があるため、本当はFGAの方がいいなあ、などと考えている。

 

決断するには、日本のほかのジュエラーがどのように鑑別を行っているのかもう少し情報が欲しいところだ。私はジュエリーの学校などには通っていないので、こういう時に弱いなと感じる。人脈を広げる方法も同時に考え中。考えることがたくさんで楽しい限り。